最近の新入社員は常識を知らない、マナーがまるでダメなどといった意見が多くありますが、学校の教育ではこれらのことを教える機会は全く無く、知識重視の教育を受けてきた彼らに社会人として常識や組織人としての基礎知識がないのは当然です。一方で、新入社員教育などあまり意味がないとか、我が社では教育など必要なくやることをやってくれる社員がいればよい、といった意見も聞かれますが、組織人としての基礎を入社の時点で会社が手を差し伸べ教え込むことは非常に重要です。入社時期にしっかりと教育することが彼らの間違った企業観を是正し、正しい認識を持たせることになります。
ここにお薦めするする新入社員研修は、社会人としてのマナーを学ぶというただ教えられるスタイルの研修ではなく、組織人としての自覚、会社に関する知識、組織、仕事の進め方、正しい話し方、マナー、文書の書き方などを学び、これらを学ぶなかで、「自分で考えること」や「想像力を発揮すること」そして「相手の意見をきくことと、自分の意見をまとめて言うこと」などの重要性にも気づかせることに主眼を置いています。
また、自社の新入社員のみでの実施の場合、企業独自の特徴、たとえば自社特有の経営理念などに関してを研修内容に含めることもできます。
・基本的な職場のマナー、社会人としてのマナーを身につけさせる。
・研修を通して新入社員の最大の弱点である「自信がないこと」、「自分に甘いこと」を早期に改善さ せる。
・学校と会社の違いを認識し、社会人としての自覚を持たせる。
・会社の目的・組織・仕事を理解し、自分の属性を改めて認識させる。
・チームワークとコミュニケーションを学び、職場に必要なコミュニケーションを身につけさせる。
・手の空いているときは、自分から仕事を探す姿勢を身につけさせる。
・「言われた仕事をただこなす」といった漠然と仕事に取り組むことがないよう、仕事の仕組みを理解 し、想像力・論理力を働かせた仕事の進め方を身につけさせる。
・研修で分かったこと身につけたことを直ぐに振り返れる配布資料により研修終了後の実務において研 修内容を習慣化させる。
対象者 :入社1年~3年程度の新入社員、内定者、社会人としての基礎が必要な社員
定 員:4名~20名
研修時間:2日間(ご要望に応じて1日研修へのカスタマイズが可能です)
会 場:貴社の会議室、またはご要望に応じて
※こちらの研修は、お一人様からご参加できます公開講座を毎年4月頃に開催しております。
新入社員研修は、新入社員に社会人としての基本を理解し、自らの役割を果たす為の基礎知識の習得を目指すコースです。この為、新入社員研修では、役割分担による演習に重点を置き、体験学習を通して社会人としての基本が具体的に習得できるようプログラムされています。
講義・演習の内容 |
目的・手法 |
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1日目 6時間 |
オリエンテーション(はじめに) 2.仕事の進め方にについて知る |
・ゲームによる
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2日目6時間 |
3.会社の組織と業務 4.仕事の進め方 5.職場のマナー 6.まとめ |
・カードを用いたグループ学習
・ゲームによる学習
・実技講習 |
※内容項目リンクをクリックで、配布資料が閲覧できます
実際の研修内容の一部を次の動画でご案内しております。
〇これから学ぶ事柄
〇良い話し方
〇会社の目的
〇職場に必要なコミュニケーション
〇会社のしくみと仕事
就職を控えた学生の身近で重要な目標は卒業後に働く会社の内定を得ることです。
学校もこの目標の達成に向けて在校生に就職先の紹介や就職活動を応援します。
学生が無事に就職先も決まり卒業すると、そこからかれらの社会での長い人生が始まります。卒業生が社会で働くようになると、働くこと、社会のこと、自分のこと、自分の人生のことについて、社会の中で色々なことに触れ、これらのことについて考える機会も増えます。この時に、これらの社会の中での色々なことについては、人によって触れるタイミングが違う、触れる機会がなかった、触れているのにそのことに気が付かないで見過ごしてしまうなどがあり、また、学生時代の授業のようにいつも教えてくれる人がそばにいる訳ではありません。
大人になってみると、色々な後悔が頭に浮かんでくることがあります。例えば、「なぜ、自分は若いときに自分の人生についてちゃんと考えてこなかったのだろう」と感じることは少なくないはずです。
卒業して社会に出た学生の人生が、成り行き任せの日々、流された人生、その場しのぎのサイコロ人生とならないよう、今後の彼らの人生に大きく影響する大切なことについて就職活動の初めに考えさせてみませんか。
卒業生の人生が幸せなものとなる様に就職活動の初めにそのきっかけを作ってあげる。
・幸せな人生を知る。
・自分の人生を大切にする。
・自分の人生は自分で決める。
・就職することの重大さを知る。
・就職活動の意味を知る。
・企業が望む人材像を知る。
・自分の能力(潜在能力)を知る。
・自分らしさは自分で作る。
・今の自分の生活を未来の自分づくりに役立てる。
対象者 :就職活動を控えた高校生・専門学生・短大生・大学生、
定 員:一学年
開催時間:60分~90分
会 場:学校
・幸せな人生を考える
幸せな人生は明るい返事とあいさつから始まる
幸せな人生ってどんな人生?
幸せな人生を送るコツとは?~就職活動はその第一歩~
社会人になったときのリスクと保険
「幸せ人生づくり」の大前提
サイコロ人生になっていませんか?
・人生をマネジメントする
自分の人生を自分で決めるにはどうすればいいのか?
マネジメントとは?
・人生のシナリオを書く
自分の人生を大切にしていますか?
・就活作戦をしっかりやる
就職することの重大さ
就職活動って何?
企業が望む人材像とは?
内定を複数勝ち取れる学生と内定を取れない学生の違いとは?
・自分の能力
「自分には能力があるのか?」という疑問→潜在意識の力を知らない
潜在意識の力
私たちの能力発揮を抑えているもの→見えないガラス板
・自分らしさづくり
「自分らしさ」は自分で創るもの
自分らしさを創るための作戦
いろいろな仕事
あなたには社会がどのように見えていますか?
今の自分の生活が未来の自分づくりに役立っているか
自分らしさは自分が作る
・人生づくり
自分のパーソナリティーを再開発する
「幸福感」と「生きがい感」
「人生のシナリオノート」を書こう
※内容項目リンクをクリックで、配布資料が閲覧できます
実際の研修内容の一部を次の動画でご案内しております。
〇幸せな人生ってどんな人生?
〇「幸せ人生づくり」の大前提
〇サイコロ人生になていませんか?
〇企業が望む人材像とは?
〇自分らしさは自分が作る
〇「成功」の練習をしよう
管理職と一般社員の間に立ち、管理職を補佐し、リーダーシップを発揮して一般社員をまとめて職場の目標達成を目指す役割の職場のチームリーダー。しかし、チームリーダーとしての意識がない、これまでチームをまとめた経験が少ない、職場のチームリーダーへの期待は高いものの、その具体的な役割は曖昧な現実があり、チームの成果と働きがいを創り出すために具体的に何をすべきか本人も上司も答えを見出せずにいます。
職場のチームリーダーを務めていると様々な課題が身に降りかかってきます。そんな課題を解決しようとしている職場のチームリーダーに贈る研修です。
・組織の中での自分の具体的期待役割を理解する
・リーダーシップを取りにくい部下への対応の仕方を身につける
・職場にけじめをつけさせるリーダーとなる
・チームの士気を高めるリーダーとなる
・部下に信頼されるリーダーとなる
・リーダーとして部下に対して、チームに対してのコミュニケーションの取り方を身につける
・リーダーとしての上司への報告及び対応の仕方を身につける
・良いチーム目標の設定方法から行動計画作成の方法を身につける
対象者 :職場のチームリーダー及びその候補者、部下が一人でもいる社員
開催時間:6時間
開催場所:貴社の会議室、又はご要望に応じて
定 員:4名~20名
成果と働きがいを生み出すチームリーダーとなるためのリーダーシップ21のポイントについてを学び、考え、身につける。
1.リーダーシップとは
2.リーダーと管理者(監督者)の違い
3.自分自身の特徴を知る
4.自分とメンバーとの関係を知ろう
5.メンバーの性格、特徴を知ろう
6.変革・革新づくりがリーダーシップ
7.メンバーの仕事の割り当て
8.リーダーシップを取りにくい部下への対応
9.自分より年上の部下への対応
10.自分より積極的、理論的で自信を持っている部下への対応
11.周りから信頼されておらず、職場で浮いている部下への対応
12.決まったことや規律を守らない部下への対応
13.いつも冷めていたり自分中心で協調性がない部下への対応
14.職場にけじめをつける
15.部下とのコミュニケーション
16.チームの士気を高める
17.部下に信頼されるリーダーとなるために
18.部下の努力に感謝する
19.あなたの上司への報告・対応
20.良いチーム目標の設定とは
21.目標から行動計画を作る
※内容項目リンクをクリックで、配布資料が閲覧できます
実際の研修内容の一部を次の動画でご案内しております。
〇リーダーシップとは?
〇変革・革新作りがリーダーシップ
〇リーダーシップを取りにくい部下への対応
〇職場にけじめをつける
〇チームの士気を高める
〇良いチーム目標の設定とは?
人事考課とは、一定期間において発揮された社員各人の行動能力や業績貢献度(態度・業績)を公正に評価することで、これを導入している企業は多いです。でも、その制度をスムーズに行う為の「考課者研修」を適正かつ効果的に行っている企業はあまり多くありません。一見、他者を評価することは簡単そうに思えますが、それはあくまでも「結果」としてのことです。実際、評価された社員(被考課者)が評価結果に納得し、処遇(昇給・賞与・退職金)へ反映され、その先の成長(能力開発・部下指導・人材配置)を促すものになっていなければ、人事考課制度が目指す目的を達成しているとは言えません。人事考課が機能していない主な原因は将来の経営幹部候補でもある人事評価を行う管理職が十分なトレーニングを受けず、人事考課の基本となる事項を理解しないまま、評価を担当していることです。その結果、被考課者のモチベーションや成長への意欲が下がり、組織の活力が失われていく・・・。そうしたこととならないよう、将来の経営幹部候補者としての意識確認、人事評価を行う管理職として身につけるべき基本的な知識やスキル、人材育成へと結び付けていく面接の仕方を身につける為の研修内容となっております。
・組織の中の管理職としての具体的役割を認識させる
・経営者にとって価値のある管理者となる
・人事考課をきちんと行う為の一定のルールを身につける
・人物評価に陥る悪い癖を改善し、分析的に行動を評価し、部下の行動改善を促す
・人事考課を単なる査定を目的としたものではなく、評価を通じて管理職と部下で課題を明確にし、それを次期に向けた改善活動のプロセスとすることで部下の意欲を引き出すものに変える
・面接の意味を認識する
・面接に臨む前に必要なことを学ぶ
・部下育成につながる面接の仕方を身につける
対象者 :人事評価を行っている社員及びその候補者
開催時間:研修の目的に応じて、最大6時間(1日、又は2日)
開催場所:貴社の会議室、又はご要望に応じて
定 員:4名~20名
研修の目的 |
研修内容 |
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2時間 |
管理者研修(意識確認) |
1.組織の目的は何か
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2時間30分 |
人事考課研修 |
1.人事考課の目的 |
1時間30分 |
部下との面接スキルアップ研修 |
1.人事管理と面接制度 |
実際の研修内容の一部やこの研修の考え方などを次の動画でご案内しております。
〇人事考課をすることによってマイナス要素を生む人事考課
〇人を育てる仕組みとなる新しい人事考課制度へ
〇人は期待されることによって育つ
〇人事考課制度の目的
〇人事考課者研修とは(この研修で考課者が得るもの)
〇考課者訓練は定期的に行う
企業にとって、社員の時間外労働の削減は古くて新しい課題です。
近年の働き方改革推進関連法対応(平成31年4月からは、時間外労働の罰則付き上限規制、年次有給休暇の確実付与義務、労働時間の状況把握義務、長時間労働者に対する面接指導基準の見直し)を始め、労務リスクの削減(心身の健康状態等)、残業コスト抑制、ワークライフバランスやダイバーシティーの推進加速など、企業内外における種々状況に応じて、あらためて解決が急がれる重要課題として浮上しています。
また、法令遵守、社員の在り方(技能、知識、能力)、社員自体の品質向上などを含んだCSR(企業の社会的責任)が叫ばれている現在では、時間外労働の削減を解決できない永遠のテーマとして残さずに労働時間の短縮を経営課題として企業が真正面から取り組むことの必要性が高まっています。
人が主体となっている作業を科学的な視点で分析し、作業効率の改善について検討し、そして実践することで社員の生産性は大きく向上することが多くの職場で実証されています。社員の時間外労働を削減したい、生産性を向上させることによって企業利益を伸ばしたい、社員を増やすことはできないので限られた社員数の中で社員の作業効率を無駄なく活用したい等、お考えの企業様向けの研修内容となっております。
平成31年4月から改正施行された「働き方改革推進関連法」への法対応整備を望まれます場合、その旨をお伝えください。
・生産性向上が実現できる
・生産性向上で労働時間の短縮が図れる
・労働時間の短縮で時間外労働も短縮され、人件費の削減につながる
・社員が「お金になる作業」と「お金にならない作業」を明確に判断することができるようになるので、仕事に対する意識が大きく変わる
・社員に生産性や効率の意識が芽生える
・現場作業者まで、改善体質が身につく
・作業効率の向上、売上高の増大などの成果が出る
・人員に余裕ができ、開発や営業増員などの前向きな業務への移行ができる
・組織が活性化され、社内コミュニケーションが改善される
・職場での改善活動では気付かない、社員の発想では目につかないことに触れる
対象業種:製造業、建築業、流通業、サービス業など
対象職種;人が主体となって行う作業の職種
製造ライン、設計部門、建築現場での作業、営業職、事務職
開催時間:1回3時間 月2回
オフィスの生産性向上 10~50人規模 6~10ヶ月
製造業の生産性向上 30~200人規模 10~14ヶ月
開催場所:貴社の会議室、又はご要望に応じて
「労働時間の短縮」の意味を明確にする
「労働時間の短縮」という課題に取り組む際に、最初にすべきことは何が問題、又は課題となっているのかを明確にする必要があります。労働時間の短縮が問題となっているのは、①サービス残業への対応、②社員の多すぎる残業時間への対応などがあります。
そして、この労働時間を短縮するという課題に取り組む場合、次の3つの側面があることを認識する必要があります。
1.経営面からの視点
労働基準法及び安全衛生法違反の回避と残業代の削減。法違反となっている実態を解決することは企業として当然の義務ですが、実際の作業時間を短縮しないままでこの問題の解決を図ることは容易ではありません。また、残業代が人件費の増大要因となっている場合、実際の労働時間を短縮させることが優先課題となります。
2.社員からの視点
長時間労働による健康問題はもちろんのこと、最近問題としてクローズアップされている精神面にも悪影響を及ぼしている危険性があります。また、ワークライフバランス(仕事と家庭のバランス)、ダイバーシティ―(多様性の尊重)についても過剰な時間外労働が今後解決されるべき大きな問題です。
3.実質労働時間の短縮
実質労働時間の短縮、この課題こそが最重要であることを明確に認識すべきです
「労働時間を短縮する」という課題は、残業代として支払われる人件費の削減や法律に沿った就業時間の管理方法を変えることではありません。社員が実際に労働している時間を短くすることが真の課題です。実質的な労働時間を短縮することは、経営面でのメリットに加えて社員にとっても健康問題、メンタル面での問題、さらにはワークライフバランスやダイバーシティ―などにも重要な影響を及ぼします。
一般的な労働時間の短縮方法
実質労働時間の短縮の前に一般的な労働時間を短縮する方法を見てみましょう。
●法的な労働時間の短縮
就業規則の見直し
みなし労働時間制の適用
変形労働時間制の適用
シフト勤務時間制の適用
時差出勤制の採用
●管理的な労働時間の短縮
ノー残業デーの設定
残業申告制などの方法
時間外労働の削減対策としての法的及び管理的な労働時間の短縮方法は大切なものではありますが、これらの方法は実際の作業時間を短縮していませんので、根本的な問題の解決とはなっていません。根本的な課題は実際に労働時間を短縮する、つまり作業の生産性を高めることにあります。
生産性を左右する4つの要素
工場や事務所の生産性を左右する要素は次の4つのものがあります。
1. 生産固有の技術(生産技術)
生産方法に関する技術及び生産設備の性能、つまり生産に使われている技術、そして設備の性能です。
例)生産スピード、生産品質などの設備が固有に持つ性能
通常、最新の設備は旧来の設備に比べて優れた性能を持っていることが知られています。この生産技術と設備の性能によって、生産性は変わります。
2.管理面
生産を実行する為の管理の方法です。
例)生産計画の立て方、作業指示の方法など管理方法に関する要素
この管理方法が適切に行われていない場合には、手待ちの発生、滞留の発生、段取り変えの多発などの非効率が発生します。
3. 作業面
作業者の動き、モノの動きなどから見た、言わば「作業のさせ方」といった面が生産性を左右する要素となっています。物の置き方や置き場所、運搬の方法、工具・測定具、作業指示の方法、機械設備の配置などが生産性に影響します。
4.教育面
作業者の成熟度も大きく生産性に影響します。
この研修では主に項目3に焦点を当てて改善を行いますが、項目2及び4についても検討する必要の機会が多いことを認識する必要があります。
生産性向上の手段と目的
「生産性向上」の手段
生産性を向上させるために取り入られる活動には次のものがあります。
活動 | 主な手法 |
---|---|
IEによるアプローチ (生産性の向上が主目的) |
工程分析 ワークサンプリング法 動作分析 時間分析 レイアウト分析 標準時間 |
QCによるアプローチ (品質の向上が主目的) |
QCストーリー QC7つの道具 (パレート図、特性要因図、ヒストグラム、管理図、フラフ、チェックシート、親和図法) |
VEによるアプローチ (価値の向上が目的) |
機能分析 機能系統図 |
職場改善活動によるアプローチ (職場の活性化が主目的) |
2S(整理・整頓)運動 5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)運動 小集団活動 QCサークル活動 |
この研修では、IEによるアプローチで生産性の向上を図ります。
「生産性向上」の目的
人の動作、用いる工具や設備、必要な資材や作業場などを最も好ましい状態に結び付けることで、最小の努力と資材をもって、最大の効果を上げることが「生産性向上」の目的です。つまり、労働強化ではなく、本当に価値のある作業は何かを発見し、価値を生まない作業(本当の作業ではない動き)を削減することで価値ある作業(主作業)の比率を向上させようとする体系的な活動です。
実質労働時間の短縮とは?
実質労働時間の短縮とは、科学的な方法を用いて作業の生産性を高める、それは今までの仕事の方法、進め方などにメスを入れて生産性の向上を図ることです。付加価値を生まない作業を見出し、それらを削減することによって生産性を上げます。
この為、「そんなことをすれば不良品が増える」、「お客様へのサービスが低下してお客様に迷惑がかる」、「労働時間が長くなっているのは、営業マンや事務職の能力不足だからだ」という考えは間違いです。
実質労働時間の短縮は、作業者に無駄な動作をさせないことを目的としているので「がんばれ」という労働強化による生産性向上でもなければ、社員のヤル気や頑張りに期待するものでもなく、言わば「楽して生産性を上げる」方法のことです。
社員の仕事の仕方を決めている又は何も指示していないのは、経営者又は管理者です。建物の構造、物の置き場所、運搬の方法などの様々な仕事を行う環境や仕事の方法が暗黙のうちに決まってしまっているのです。これらの改善が生産性の向上に繋がります。
実質労働時間の短縮へのアプローチ
労働時間短縮の為のアプローチとして昔から行われている手法にIE手法(Industrial Engineering手法)と言うものがあります。この手法は、作業を分類したり、モノ(材料や製品)の流れを調査したり、又はそれによって機械配置を変更したりしながら生産性の向上を図る手法です。その考え方は、現状を把握し、主作業(お金になる作業)比率を分析し、そして主作業以外の作業を削減する改善策を検討することによって、結果的に「主作
業比率」を向上しようとするものです。
※IEとは?
Industrial Engineeringの略で、企業などの経済的組織が人・物・金・情報といった経営資源を効果的・効率的に運用できるように、作業手順・工程、配置・用具、組織・制度、管理方法を分析・評価し、改善策を総合的なシステムに再編成し、現場に適用する体系的技術のことです。フレデリック・テイラーらの科学的管理法における時間研究に端を発し、仕事とそのマネジメントに関する各種の知識・理論・改善技法を加えながら適用範囲とその内容を拡大し、現在では組織経営の殆ど全ての領域の問題を扱っています。
ステップ1.現状把握~作業の種類とその意味を知り、作業を仕分ける~
社員が毎日行っていることがすべて付加価値を生んでいるわけではありません。付加価値を生み出している、つまりお金になっているのは主作業を行っている時間のみです。1日の中で行われている作業の種類とその内容を理解し、種類ごとに仕分けをします。
作業をしている時間は、就業時間から休憩時間を引いた時間のことです。
作業時間 = 就業時間 - 休憩時間
この作業時間の中には次の種類の作業があります。
作業の種類とその内容
①作業・・「主作業」及び「付随作業」から成る主体作業と付帯作業
主作業:お金になっている作業、又はその職場で成果に直結している作業
付随作業:主作業を行う為にどうしても欠かせない「主作業」の前後、又は途中の作業
付帯作業:主作業及び付随作業を行う為の準備、段取り、後始末、運搬などの作業
②余裕・・「作業余裕」及び「職場余裕」からなる管理余裕と「用達余裕」及び「疲労余裕」から成る人的余裕
作業余裕:歩行、記入、点検、清掃など必要だが不規則、偶発的に発生するもの
職場余裕:指導伝達、体操、朝礼など本来の作業とは関係なく発生するもの
人的余裕:用便、水飲みなど生理的欲求によって発生する不可避のもの
③非作業・・作業をしていない状態
非作業:遅刻、雑談、作業者の怠惰や個人的理由から発生するもの
付加価値を生むお金になっている作業は「主作業」のみで、他の作業はこの「主作業」を行う為の周辺作業であることの認識が必要です。
作業内容の仕分け例として、製造現場での作業、営業職・事務職の事務作業、営業職の営業活動の作業内容の仕分け例として、次のものが挙げられます。
ステップ2.主作業比率分析~各作業の比率を測定及び分析する~
1日の中で行われている各作業の比率を測定、分析(工程分析・ワークサンプリング法・動作分析・時間分析)します。
作業の比率を測定するので、仕事量の繁閑は関係ありません。
例えば、製造現場での各作業の比率が次のようになったとします。
非作業は、原則的になくさなければならないものなので、測定及び分析の対象外とします。
お金になる作業である主作業の比率が25.7%であるという意味は、もし作業員が100人の場合、このうち25人がお金になる仕事をしており、残りの75人はお金になる仕事をしている25人の為に段取りやサポートをしていると状況だということになります。
別な言い方をすると、お金になる作業をしているのは4人のうち1人で、残りの3人は段取りばかりしている状況であるということです。
ステップ3.他作業の削減~主作業以外の「その他の作業」の効率化を図る~及び改善策の検討
お金になっている主作業以外の作業である「その他の作業」を削減する方法を検討し、IE手法を用いたり、作業改善を行うことで、それによって生み出された時間を自動的に主作業にまわします。但し、ここで、主作業の作業効率アップや社員のやる気で効率を上げることはしません。つまり「その他の作業」に費やす時間が短縮されますから、結果的には「主作業」を行う時間が増大し、作業時間全体としてみれば生産性が増加することとなります。
主作業比率(作業時間中に付加価値を生んでいる作業が占める割合)の一例
機械組み立て工場 33%
縫製工場85%
裁断向上70%
卸売りの畳表加工 30%弱
切削加工の大量生産 90%
お菓子工場 50%
建築業 12%
※この数値は過去にIE手法による労働時間の短縮を実施した企業の数値で、業界平均ではありません。同じ業種・規模の企業でも仕事のさせ方によってこの数値は異なります。
合理化すべき作業の具体例の一部
生産性の向上、又は労働時間の短縮は決して解決できない永遠の課題ではありません。お金を生んでいない(付加価値を生まない)作業について、それらに費やしている時間をいかに削減するかを社員で一つ一つ検討し、改善することで、大きな成果が生まれます。社員の無駄な動作を減らし、これによって生まれた時間をお金を生む作業にあてがうことは限られた経営資源である人を有効に活用する最初の第一歩だと思います。ぜひ、実質労働時間の短縮に正面から取り組んで頂けたらと思います。