人事管理の現状分析

1.事業の分析

 

様々な人事管理上の課題を的確に抽出し、効果的な解決策を導き出すには、自社独自の「事業」や「組織」に照らし合わせながら検討することが必要です。

 

なぜなら、例えば、給与について、「自社の平均給与が同業他社よりも低い」という事実が分かったとして、低価格の製品を大量生産する企業なら、社員を確保できる限り、この事実は「強み」となります。でも、高品質・高価格の製品を生産する企業の場合、この事実は技術者の流出を引き起こす可能性があり、「弱み」となります。

 

このように、人事管理の分析を行う場合、自社の「事業」や「組織」を整理し、十分に理解しておかなければ、的確な結論に至りません。

 

事業の分析では、「事業構造の分析」と「業績」の2つの視点から、自社の根底となる現状把握・今後の方向性を整理します。


1.事業構造の分析

事業構造の分析は、自社の事業内容や今後の方向性を整理します。この作業を通じて、自社の強みや弱み、経営戦略について確認します。

 

事業構造は、企業の経営の根本的な部分であり、組織づくりや人事管理の基盤ともなっているものです。「自社は何をやっているのか、これから何をやろうとしているのか」「自社の強み、弱みは何か」を明確にすることで「構築すべき組織」や「期待する人材像」も明確になります。


  SWOT分析

  強み(Strength) 弱み(Weakness)
機会(Opportunity)
どのような事業領域で展開するか
攻める為に補強すべき点は何か
脅威(Threat)
どのような勝ちパターンで他社への優位性を打ち立てるか
守る為に補強すべき点は何か

 

 

2.業績の分析

業績の分析は、事業の運営を通じてどれだけの利益などの付加価値を生み出しているのか、それは同業他社と比較して多いのかなどを分析します。

 

業績とは、売上高や利益など、事業が上げた成果のことです。

 

事業の健全性、運営の効率性は業績に表れます。一般的には、業績がよければ、組織がうまく機能し、又人材が有効活用されていることを示します。逆に、業績が悪ければ、戦略に対して組織や人材に関する制度やシステムの面に問題があることが推測されます。

 

業績の分析では、経営の健全性や効率性を客観的に把握する為に貸借対照表や損益計算書を用いて簡単な財務分析を行います。企業にとってのお金は、人体にとっての血液に例えられます。組織内においてお金が循環しないと組織は死んでしまいます。毎年の健康診断で血圧や血糖値の検査が行われるように、企業の血液であるお金も定期的な検査が必要なのではないでしょうか。